今回の記事はこんな内容です。
レンズフィルターについて種類毎にその効果を整理しました。
また、各フィルター毎の使用上の注意点も分かりやすくまとめました。
カメラをそれなりに使えるようになると「レンズフィルター」を使いこなしてみたくなります。今回はそんな方向けの記事です。
この記事はカメラ初心者の方を意識して極力平易に、私の使用感を中心に書きたいと思います。
今回は円形のねじ込み型フィルータを中心に解説しています。
角型フィルター編については下記を参考にして下さい。
本当は今回の記事を作成するにあたり、フィルター使用前、使用後 の作例とあわせて公開したかったのですが、、、、この状況で十分に撮影に行けず、一方で涼しくなってきて撮影にはいい季節になって来てしまったので、公開に踏み切りました。そもそも、フィルターの効果は対象商品の説明で作例が多々出ていますし、、、(笑)
フィルターと言っても皆さんがよく使われているレンズを保護する目的のレンズ保護フィルター、レンズプロテクターのことではなく、撮影画像に一定の効果を与えるフィルターのことになります。以降で詳細を説明します。
最初に読んでほしいこと
フィルターを購入するにあたって大事なことを一番最初に書きます。
これを知らずにいたために私は結構無駄な買い物をしてしまいました。
フィルターってレンズの径(太さ)にあわせて準備が必要です。
ただし特殊効果のあるフィルターって使う場面も限られますし、複数のレンズを持っている場合に全部のレンズに対して揃えるのは結構な投資が必要ですよね。
こんな時にとっても便利なものがあります。
実はステップアップリングと呼ばれる、フィルターと径が違うレンズにフィルターを取り付けられるアダプターがあるんですよ!
これを使うと、例えばフィルターを82mm径で用意しておいて、実際のレンズが77mm等、82mm径以下のレンズであればフィルターが他のレンズにも取り付けられるようになるすぐれものです。
しかも、、、お安い!!(1枚 800円くらい?)
これの存在を知らずに、しばらくの間、広角、標準など、よく使うレンズ向けにレンズの径にあわせて同じ種類のフィルターを何枚も買っていた時期がありました、、、悲しい。
現在は
- 自分がフィルターを使うレンズのうち、一番大きなレンズの径にあわせてフィルターを買う
- それ以下の径のレンズに対してはステップアップリングを利用して装着
にしています。
なお、ステップアップリングを使うとフィルターとレンズの間に空間がさらに出来るので、画質面の影響は多少気にはなりますが、そもそもフィルターを使う時点でレンズ前面に何かを介在させる前提なので、その辺りの影響は割り切って使っています。コスパ重視です!
ステップアップリングの使い方
フィルターのサイズ、レンズのサイズを確認し、そのサイズを調整できるアダプターを準備します。
例えばフィルター径が82mm、レンズの径が72mmならば「ステップアップリング 82mm-77mm」を使います。
ステップアップリングは表と裏で径の違うネジ溝が切ってあるリングです。
これを使ってサイズの違う径同士の組合せを可能にするものです。
作りとしては単純ですね。
なお、複数のサイズのリングがセットになったものもあるので、複数のレンズ、フィルターをお持ちならばセットで買うのが一つずつ買うよりはお得でよいかも知れません。
ステップアップリング利用時の注意点
レンズよりも大きな径のフィルターをつけるのが原則になるので、レンズフードがつけられません。
C-PLフィルターやクロスフィルターを使用時などはどのみちフィルターの前段のリングを回さないと行けないのでレンズフードは利用できないのですが、この点に割り切りが必要です。
フィルターの使い方の原則
面倒なので保護フィルターの上にさらに重ねてつけてしまいたくなりますが、できれば重ねないほうがよいです。
そもそも特に強い光を受ける場面ではフィルター表面で光が一定量反射して、フレアとかゴーストと呼ばれる黄緑の光の点状のもの、もしくは薄い光の影のようなものが映像に映り込む可能性があります。
複数枚のフィルターが重なることで、それぞれのガラス面の反射が発生するため、このような状態がさらに起こりやすくなります。
とは言え、まともに強い光に向かって撮影しない場面では面倒なので重ね付けしちゃうことは実際多いのですけど。
使ってみてゴースト、フレアなど、変な像が写り込んでいたら重ね付けの影響を疑って、保護フィルターを外すなどしています。
なお、フィルターによっては特殊加工でこの手の現象をある程度抑え込むことができるものもあります。
例えばNikon純正のARCRESTと呼ばれる高性能フィルターは、フィルター表面の反射を極力抑え込む特殊加工がなされています。
自分もフルサイズ導入時、この保護フィルターをつけ始めましたが、体感的に全く違います。
ただしフィルターだけでなく、できれば高性能なレンズとセットで使うことが大事ですが、、
フィルターの種類について
概ね下記がよく使われているフィルターでしょうか。
- クロスフィルター
- C-PLフィルター(偏光フィルター)
- ソフトフィルター
- NDフィルター(減光フィルター)
- 光害カットフィルター
以降、順番に説明しますね。
クロスフィルターの利用シーン
基本的には夜景撮影時に使うフィルターで、夜景のキラキラをマシマシ(笑)にするためのフィルターです。
フィルター表面に溝があり、そこで光を放射上に反射させます。
フィルターは二層構造になっており、撮像を見ながら前段のリングを回して放射状になる光の角度の調整を行います。
溝の数もいろいろあり、四本、六本、八本・・と どんどん派手に?なります。
お使いのレンズ、お好みに合わせてフィルターサイズ、光条の本数を選んで下さい。
使用上の注意点
基本的にキラキラのマシマシ効果は撮影画像全体に及びます。
このため、画像全体が多少ぼやっとした感じになります。
また、ある程度強い光を発しているものはすべて放射状の画像になります。
メーカーの作例など見ていると狙ったところだけきれいに放射状になっているような作例もありますが、なかなか想定どおりに行きません。
夜景など撮った場合、光っているもの全部が放射状になり、少し画面的に”うるさく”なることも多いです。
このため、光源が少なく、メリハリが付けやすい撮影対象の場合には効果的です。
あるいはうるさくなることを前提にこのように思い切って使うか、、ですね。
C-PLフィルター(サーキュラーPLフィルター)の利用シーン
いわゆる偏光フィルターで、フィルターを通す光の方向を制限し、乱反射してくる光を抑えるものです。
C-PLフィルターは二層構造になっており、前段のリングを回して効果を調整します。
撮影時の条件に応じて前段のリングを回し効果の効き具合を調整します。
※これは82mmサイズのリンクです。
お使いのレンズに合わせてフィルターサイズを選んで下さい。
なお、PLフィルターには”C”がついているC-PLフィルターと”C”のついていないPLフィルターがあり、若干機能が異なります。
通常PLフィルターというと基本的にはC-PLフィルターのことですが、クラッシックカメラ向けのPLフィルター(Cがついていないもの)と間違えないようにしてください。
現行の一眼レフ、ミラーレスではC-PLフィルターでないとピントが合わない等になります。
C-PLフィルターは光の乱反射を防ぐことから、主な利用シーンとしては
- 雲、空気中の微粒子の乱反射を防いで白っぽく見える空の色をきれいに撮りたい
- 水の乱反射を防いで水面をきれいに撮りたい
になります。
使用上の注意点
このフィルター、結構持っている方も多いのですが、真の効果を出そうと思うと実はいろいろ注意点が多いフィルターです。
フィルターの中で難易度が高い方のフィルターだと思います。
以下、主な注意点を挙げますね。
- 空の青色を”より”青くするには太陽との位置関係に留意が必要です。
太陽を真正面に据えた逆光では効果が出づらく、順光(太陽を背にする)方がよいです。 - 水の反射を抑えるためには撮影したい水面に対し、30~40度の角度での撮影が最も効果的です。
- 広角レンズにC-PLフィルターを使った場合、撮影画面内に効果のムラ(一部が暗くなる)ことがあります。その場合、撮影場所を変える(撮影角度を変える)、あるいは前段のリングを回して効果を調整します。
- C-PLフィルターは基本的に薄い黒の色付きなので、装着すると暗くなります。
絞りを開ける、ISO感度を上げるなど、装着前よりも明るくなるような調整が必要です。
また、画面が暗くなるので、AFが合いにくくなるかも知れません。もしピントが合わせにくい時はフィルターを外した状態でピント合わせをして固定し、その後フィルターをつけるなどで対応してください。
う~ん、やっぱりなかなかむずかしいですね(笑)
C-PLフィルターについてもっと詳しく知りたい方はこのサイト(ケンコートキナのPLフィルター説明サイト)がきれいにまとまっています。
ソフトフィルターの利用シーン
画像を全体的ににじませて柔らかい感じの仕上げになります。
画質がふんわりするので、ポートレート撮影などに使われる方もいますが、主な用途としては星空の撮影ではないでしょうか。
夜空を見上げて、大きめの星、明るい星をそのような見た目で撮りたくても撮影した星空は想像通りに撮れないことが多いですよね。
ソフトフィルターを使うと、星の明るさ、大きさに応じて星の像がにじむのである程度イメージに近い星空を撮ることができます。
※これは82mmサイズのリンクです。
お使いのレンズに合わせてフィルターサイズを選んで下さい。
※これは82mmサイズのリンクです。
お使いのレンズに合わせてフィルターサイズを選んで下さい。
使用上の注意点
実は注意点はあまりありません。つけただけで効果が出ます。
ただし、ソフトフィルターにより、画面全体がふわっとする ということは画質のキレがなくなりますので、その点は留意です。
また、このフォルターを使うのは夜間の撮影が多いと思いますが、画面が柔らかくなる関係上、AFが合いにくい、ピントが甘くなることがあります。
撮影された画像を見て、マニュアルでピントリングを調整するなど、必要に応じて対応して下さい。
NDフィルター(減光フィルター)の利用シーン
カメラに入力される光を減光させる効果があります。
なお、NDフィルターを使う場合、シャッタースピードを長くするのが基本なので、三脚利用は必須です。
NDフィルターであえて光の量を絞ることで、シャッタースピードを長くしても画面が真っ白にならずに撮影ができるため、
- 滝などの水流、水面を柔らかく撮りたい。
- シャッターを数10秒レベルで長く開けて、人の流れ、雲の動きなどをダイナミックに表現したい。あるいは、街中の撮影時、人の像をはっきりさせずぼやかしたい。
- 水面にさざ波があるような場合でもシャッタースピードを長くすることで水面が滑らかになり、水面の反射(リフレクション)を効果的に表現できる。
このような撮影が可能になります。
また、花火など、強烈な光源の光の量をある程度抑え込んで白飛びを防ぐことも可能になります。
光の量の制限には、絞りを絞る、ISO感度調整などでも対応は可能ですが、
- 昼間は絞り、ISO感度の調整では限界がある。
- 花火などの強烈な光源に対しても絞り、ISO感度での調整は限界がある。
- あまり絞りを効かせずに、かつ、シャッタースピードを長くして撮影したい。
このような理由でこのフィルターを使います。
なお、NDフィルターは減光できる量に応じてフィルターを変える必要があります。
NDxx(xxは数字)の数字の大きさで減光が大きく(色が濃く)なります。
自分の利用するシーンに応じて適正な減光量を変える必要があります。
- 昼間の利用だとND1000程度
- 夕方の利用ではND64程度
- 花火などで夜間撮影時の白飛びを抑えるならND4程度
を選択することが多いですかね。
お使いのレンズ、希望のフィルターの濃さで選んで下さい。
お使いのレンズに合わせてフィルターサイズを選んで下さい。
使用上の注意点
NDフィルターの濃さにもよりますが、画面が暗くなるので、AFが合いにくくなるかも知れません。もしピントが合わせにくい時はフィルターを外した状態でピント合わせをしてピントを固定し、その後フィルターをつけるなどで対応してください。
光害カットフィルターの利用シーン
これはあまり皆さん聞き慣れないフィルターかも知れません。
星空を撮影する際、街の灯り(水銀灯やナトリウムランプなど)の特定の波長の光を低減し、やや黄色味がかかって撮影されてしまう空を本来の星空の色味に近づけてくれるフィルターです。
お使いのレンズに合わせてフィルターサイズを選んで下さい。
使用上の注意点
特殊加工したフィルタをレンズ全面に挿入するため、やや画像は暗くなりますが、非常に気になるほどではありません。また、装着するだけでその効果が出ます。
黄色味が減少する という点はホワイトバランスなどの色味の調整でもなんとかなりそうですが、光害カットすることにより、これまで見えづらかった星なども「やや」くっきりとしているように感じます。
星景写真を気合いを入れて撮りたい方は持っておいた方がいいフィルターですね。
まとめ
今回は初級編ということで円形フィルター中心にまとめてみました。
種類が多いこともあり、長文になりましたが、最後まで読んでくださってありがとうございます。
フィルターはレンズなどの投資に比べると「まだ」割安なので、手軽に楽しめるカスタマイズかなと思います。
自分の写真のレベルをワンランクアップさせるために使ってみるものよいですね。
ちなみに、費用対効果の意味で私のおすすめは
- ソフトフィルター(星がふんわり、おっきくなる!)
- NDフィルター(撮れる写真の雰囲気がガラッと変わる。でも三脚は必須)
ですかね
コメント