2023年6月25日更新:「月丼」撮影時の詳細な撮影条件を追記
今回はこんな記事です。
羽田空港内、羽田空港近傍からの撮影を想定したものになりますが月丼を撮るコツを説明します。基本的な考え方は他ベースの方も応用できると思うので参考にしてください。
また、実際に「月丼」を撮影した際の詳細な撮影条件も説明しています。
では、前回に引き続き、今回も数年に渡って蓄積したノウハウを大放出していきます。
今回は下記のポイントで説明をします。
なお、基本的な月丼の撮り方のコツはこちらの記事で説明をしていますので、できればこちらの記事を先にご覧になってください。
では、以降で詳細を説明します。
飛行機の飛び方の整理
飛行機は当日の風向きにより、向かい風になるように滑走路を使用し、離陸以降は目的地に向けた航路に向かって旋回等をします。
この「旋回」も意識すると数少ない「月丼」の撮影チャンスを増やすことができます。
今回は、この「旋回」の活かし方を中心に説明をしていきます。
なお、各運用(飛行機の飛び方)のルール詳細はこちらの記事も参考にしてください。
空港内からの撮影時
離陸する飛行機を撮影する場合
飛行機は滑走路の方向に沿って一直線に一旦上昇後、目的地に向けた航路に沿って上空で旋回する場合が多々あります。
「月丼撮影のノウハウ:羽田編」での説明では月と飛行機の航跡が重なるポイント(交点)は1箇所のように表記していましたが、実は航路によっては飛行機が旋回することで交点が2度現れるケースがあります。
以降、具体的に地図を用いて「交点」の現れ方の説明しますが、説明において、図の赤線は「月の上がり始める方向」、青矢印は「飛行機の航跡」です。
なお、月の上がる方向の確認はこちらのサイトを参考にしてください。
◯パターン1
北風運用時に(第二ターミナルなどから)D滑走路から南方面に向かう飛行機を狙う
図の「黄色の丸」の2箇所に交点があります。
離陸直後に旋回を始めるので、上昇時、旋回後の2度、月と重なるチャンスがあり、狙いやすいパターンです。
◯パターン2
南風運用時に(第三ターミナルなどから)C滑走路から北方面に向かう飛行機を狙う
南風運用時、北方面に向かう飛行機は通常C滑走路を使用します。
また、(当日の月の上がり方にもよりますが)月と絡めるためには第一、第二ターミナルからは難しく、第三ターミナルが撮りやすい場所です。
この場合、図の「黄色の丸」の2箇所に交点があります。
空港からかなり離れた位置から旋回を始めることが多いので、旋回後の交点での機影は相当小さなものになります。
着陸する飛行機を撮影する場合
空港近くでは飛行機はかなり高度を落としているため、月と重なる高度はかなり低くなります。
また、水平線「直上」の空は霞んでいることも多く、月の姿がはっきりしないことが多いです。
このため、空港内から着陸する飛行機での月丼の撮影難易度はかなり高くなります。
空港内から着陸と絡めた月丼撮影は成功したことはありません。
ただし、上がった直後の月は霞、海上の水蒸気などにより、赤色っぽい月になるなど、印象的な月になることも多いので、撮影できたなら面白い写真になります。
理論的にいうと月丼になるパターンは下記です。
◯パターン1
北風運用時に(第三ターミナルなど)からA、C滑走路に着陸する飛行機を狙う
(当日の月の上がり方にもよりますが)A、C滑走路の着陸と絡めて狙うので、第三ターミナルが撮影しやすい場所になります。
ただし、A滑走路への着陸を狙うには月の角度によっては滑走路に近すぎ、高度が低すぎ、月と重ねて撮るには難しい可能性があります。
また、C滑走路は第三ターミナルからは空港ビルで視界が遮られるので角度によっては交点が見えづらいケースもあります。
◯パターン2
南風運用時に(第二ターミナルなどから)D滑走路に着陸する飛行機を狙う
第一、第三ターミナルだと空港ビルで視界が遮られる可能性があるので、このようなパターンでは第二ターミナルデッキが撮影しやすいと思います。
空港外からの撮影時
- 城南島海浜公園
- 京浜島つばさ公園
- 羽田イノベーションシティ
- 浮島公園
- 東扇島東公園
月丼を狙いやすい空港から向かって左側にあり、かつ、近くに駐車場があってアクセスがよい場所となると、羽田イノベーションシティ、東扇島東公園かと と思います。
以降、この場所で月丼が撮影できる条件を説明します。
離陸する飛行機を撮影する場合
羽田イノベーションシティからの撮影
◯パターン1
北風運用時にD滑走路から南方面に向かう飛行機を狙う
図の「黄色の丸」の2箇所に交点があります。
離陸直後に旋回を始めるので、上昇時、旋回後の2度、月と重なるチャンスがあり、狙いやすいパターンです。
◯パターン2
南風運用時にA、C滑走路から離陸する飛行機を狙う
図の「黄色の丸」の3箇所に交点があります。
ただし、C滑走路から離陸した飛行機は空港からかなり離れた位置から旋回を始めることが多いので、旋回後の交点での機影は相当小さなものになります。
東扇島東公園からの撮影
◯パターン1
北風運用時にD滑走路から南方面に向かう飛行機を狙う
東扇島東公園は羽田空港から南に位置するため、月が上がる場所が真東から北寄りの場合に選択する撮影場所となります(赤線がこれまでと違って右上を向いていますね)。
上昇中、もしくは旋回直後のタイミングあたりで撮影することが多いです。
◯パターン2
南風運用時にA、C滑走路から離陸する飛行機を狙う
東扇島東公園は羽田空港から南に位置するため、南風運用時はA、C両滑走路から離陸する飛行機で月丼を狙えるので、おすすめです。
着陸する飛行機を撮影する場合
空港近くではかなり高度を落としているため、月と重なる高度はかなり低くなります。
また、水平線「直上」の空は霞んでいることも多く、月の姿ははっきりしないことが多いです。
このため、撮影の難易度はやや高くなりますが、空港内での撮影時よりは成功確率は高いです。
羽田イノベーションシティからの撮影
◯パターン1
北風運用時にA滑走路、C滑走路に着陸する飛行機を狙う
空港近くの建物が邪魔になるので、必ずしも撮りやすくはないですが、狙えることは狙えます。
◯パターン2
南風運用時にD滑走路に着陸する飛行機を狙う
空港近くの建物が邪魔になるので、必ずしも撮りやすくはないですが、狙えることは狙えます。
東扇島東公園からの撮影
◯パターン1
北風運用時にA滑走路、C滑走路に着陸する飛行機を狙う
東扇島東公園は羽田空港から南に位置するため、高度が落ちきらない状態で撮影でき、A、C両滑走路へ着陸する飛行機で月丼を狙えるので、おすすめです。
◯パターン2
南風運用時にD滑走路に着陸する北方面から来た飛行機を狙う
東扇島東公園からみて浮島JCTの建物で必ずもD滑走路に向けた視界が開けている訳ではないので、このパターンでの撮影はかなり厳しいと思われます。
「月丼」撮影時の条件詳細
理屈云々よりも、実際の撮影条件詳細を提示するのがよいと思うので参考に提示します。
北風運用時にD滑走路から離陸する飛行機
- 撮影日時:2021年9月19日 17:56
- 月の出時刻:17:09
- 撮影した飛行機:17:40出発予定(実際の出発時刻 17:54)
羽田発→高松行き A321(A21N) - 撮影場所:第二ターミナル展望デッキ
- 撮影条件:SS 1/5000、F6.3、ISO12800
APS-Cで撮影。フルサイズ換算900mmをトリミング
「Flightradar24」の画像と、「月の出・月の入り時刻方角マップ」の画像を重ね、撮影時刻からおおよその「月丼」が成立した「月との交点」を割り出しています。
⇒無理やり画像を重ねて加工を行っているので、多少の不正確さはご容赦願います。
月の出から約45分後
D滑走路を離陸し、南方面(高松)に向かうため南へ旋回時に「月丼」成立
図の赤線は当日の「月の上がり始めた方向」で、撮影時刻と当日の航跡データから、月丼成立時、実際の月の位置は「赤点線」のあたりだったと推測
⇒約45分で赤点線くらいまで月が動いています
北風運用時にD滑走路から離陸する飛行機
- 撮影日時:2020年10月1日 18:02
- 月の出時刻:17:28
- 撮影した飛行機:多分?スカイマーク(詳細データ記録しておらず)
- 撮影場所:第二ターミナル展望デッキ
- 撮影条件:SS 1/2000、F6.3、ISO20000
APS-Cで撮影。フルサイズ換算900mmをトリミング
月の出から約35分後
D滑走路を離陸し、南方面に向かうための”上昇時”に「月丼」成立
図の赤線は当日の「月の上がり始めた方向」。撮影時は「月の出」からある程度の時間が経っているので、実際の月の位置はもう少し下側だった と推測。
空港内からの撮影で離陸する飛行機との月丼が成立しやすいのは概ね地図のこのあたりで「交点」ができそうな日です。
南風運用時にA滑走路から離陸する飛行機 『白い月丼』
- 撮影日時:2022年3月16日 17:14
- 月の出時刻:15:39/日の入り時刻:17:50(撮影時間は日没30分前あたり)
- 撮影した飛行機:スカイマーク(詳細データ記録しておらず)
- 撮影場所:東扇島東公園
- 撮影条件:SS 1/5000、F8、ISO2000
APS-Cで撮影。フルサイズ換算900mmをトリミング
月の出から約1時間30分後
A滑走路を離陸し、南方面に向かうための上昇時に「月丼」成立
図の赤線は当日の「月の上がり始めた方向」。撮影時は「月の出」からそれなり時間が経っているので、実際の月の位置はもう少し下側だった と推測。
日没近傍でないと水平線上では白い月が見えづらいため、「白い月丼」を撮るためには月の出、日の入りのタイミングを図って撮影する必要あり。経験則上、日の入りの1時間〜1時間半程度前に月が上がり始める日がよい。
北風運用時にA滑走路に着陸する飛行機
- 撮影日時:2023年1月7日 17:04
- 月の出時刻:16:45
- 撮影した飛行機:ANA(詳細データ記録しておらず)
- 撮影場所:東扇島東公園
- 撮影条件:SS 1/2500、F6.3、ISO20000
APS-Cで撮影。フルサイズ換算900mmをトリミング
月の出から約20分後
A滑走路に向けて着陸する際に「月丼」成立
月の出始めなので「赤い月」になっています
A滑走路(手前の滑走路)への着陸なのと、機体がB777なので、月に対してかなりはみ出してますね、、、
まとめ
極力わかりやすく書いてみたつもりですが、どうでしょう。
「月丼撮影のノウハウ:羽田編」と同じく、考え方は他ベースの方も応用できると思うので参考にしてください。
コメント