今回はこんな記事です。
販売当初、Nikon向けは『ATOLL C』というモデルが推奨でしたが、最新の情報ではNikon Z5/Z6/Z6II/Z7/Z7II向けの推奨モデルが『AOLL D』+『ベースプレート』に変わっていたので改めて検証しました。
再検証に至ったわけ
『ATOLL』はクラウドファンディングで開発された製品で、当初の一般販売はSONY向けの『ATOLL S』というモデルのみでした。
『ATOLL』の使用を想定していたカメラは私が所有する「Nikon Z6Ⅱ」です。
(当初は)Nikon Z6Ⅱ向けは『ATOLL C』というモデルが推奨になっていましたので、非常に気になっていた機材でしたが、入手はまだ時間がかかりそうだ と諦めていました。
ところが、クラウドファンディングで早い段階で入手していた三脚フォトグラファーのHAKUさんから『ATOLL C』をご厚意でお借りすることができ、早々にATOLLの検証を行うことができました。
、、と、ここまでのお話が下記の記事の内容です。
さて。
2023年も明けて、Amazonをちらちら眺めていた所、『ATOLL S』モデル以外の一般販売が始まったことを発見。
さらに『ATOLL』の各モデルごとの対応メーカーの記載を見ていた所、Nikon向けで驚くような記載が。
リリース当初、Nikon Z6Ⅱ向けは『ATOLL C』が推奨 になっていましたが、最新の記載は『ATOLL D』+『ベースプレート』の構成が推奨 としてツレっと記載されています。
え?? 全然変わってる。
そこで『ATOLL D』+『ベースプレート』を早速ポチり、この構成変更によって使い勝手がどこまで改善するのかを検証しました。
両モデルの比較
『ATOLL』全体の構成
「二層型回転リング」「三脚座」「カメラを固定するプレート」の3つのパーツからなる製品で、「三脚座」「プレート」はアルカスイス互換、また、「プレート」はPeak Designのキャプチャーに取り付けが可能というすぐれものです。
『ATOLL C』と『ATOLL D』の比較
『ATOLL C』と『ATOLL D』の違いはカメラを固定するプレートの形状のみです。
モデルCに対して、モデルDはプレートが20mmほど長い形状です。
これにより、『ATOLL』の回転リング部分をカメラ本体に対してさらに前に出すことが出来ます。
ベースプレート
『ATOLL』のプレートにベースプレートを追加してカメラの高さを底上げするものです。
カメラの位置が上に行くので、回転リングの調整位置が変更できます。
新モデルでの検証詳細
モデル変更の目的
Nikon向けの推奨が『ATOLL C』から『ATOLL D』+『ベースプレート』に変わった趣旨ですが、下記だと考えられます。
- 『ATOLL D』になることでプレートの長さが伸びる。これにより操作性を阻害していた回転リング部分をさらに前方に移動できるので、ファンクションボタン等の押しづらさを解消。
- 『ベースプレート』をつけることでカメラを装着するプレートの高さを底上げ。回転リングの調整幅を”より”カメラの光軸(レンズの中心)あたりで調整できるようになる。
- 『ATOLL C』では回転リングの位置を調整する場合、ネジの調整位置が回転リングと干渉するため、回転リングを一度分解しないと調整ネジの操作ができなかったが、ベースプレートを入れることにより、カメラ位置が上方にいくため、回転リングを分解しないでもよくなる。
詳細は後述しますが、残念ながら2.は解決しませんでした。2.が解消しないので3.もあまり意味がない との結論です。
『ベースプレート』装着の効果
従来は回転リングの位置を調整幅のギリギリ一番下にしてなんとか光軸の中心になっていたので、『ベースプレート』をつけることでここが解消されることを期待しましたが、期待はずれ。
『ベースプレートの厚みが回転リングの上下の調整幅とほぼ同等なので、『ベースプレート』を追加した構成では回転リングの固定位置が一番上に移動するだけ です。
『ベースプレート』有無に関わらず、回転リングの調整幅のギリギリ端でやっと光軸の中心になる状況は変わりませんでした。
また、回転リングの調整幅に対して『ベースプレート』の方がやや厚みがあるようで、『ベースプレート』がある方が光軸の中心がズレています。これでは意味がありません。
以上から、(非常に微妙なサイズの問題なので、個体差はあるかも知れませんが)私が『ATOLL』を使用することを想定していたNikonのZ6Ⅱを使用する上では『ベースプレート』は追加しても意味がない との結論に至りました。
なお、従来はNikon Z6Ⅱ向けに回転リングの位置を調整する際、回転リングを一度分解しないとネジの操作が出来なかったものが、『ベースプレート』挿入により、回転リングに干渉しないでネジの締め付けができるようにはなりました。
各ボタンの操作性
『ATOLL D』ではプレートが長い分、かなり前方まで回転リングを移動させることが出来ます。
このため、『ATOLL C』ではほぼ操作が無理だったファンクションボタンの操作は可能です。
さらに、『ATOLL C』ではNIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sなどを使用する場合、回転リングがAF⇔MF切り替えボタン、あるいはコントロールリングのどちらかへ干渉する位置にしか調整出来ませんでしたが、『ATOLL D』ではどちらも干渉しない位置に回転リングを固定出来ます。
グリップの握りやすさ
『ATOLL C』では回転リングが邪魔になってグリップを握り込むことはほぼ無理でしたが、『ATOLL D』ではグリップを握り込むことが出来ます。
グリップが握り込むことができる ということは、ファンクションボタンも操作出来ます。
安定度について
『ATOLL D』では『ATOLL C』と比較してプレート部分が長い分、たわみの影響も想定され、安定度については不利です。
ただし、『ATOLL D』では”より”前方に回転リングを移動させることができるため、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S等は回転リングの中にレンズをぴったり密着させることができ、これにより、安定度を増すことが出来ます。
↓ AOLL Cの場合、かなり上下に揺れています。
↓ ATOLL Dの場合、レンズに密着していることもあって安定しています。
『ATOLL』を使用する上での注意事項
今回の記事を書くにあたって、改めて『ATOLL』の商品説明を確認した所、メーカーのサイトにはかなりの注意事項が書かれていることが分かりました。
ただし、量が膨大であったので、この記事内に入れることは諦め、別の記事としてまとめました。
今回の記事で触れている注意事項が多いものの、細かい点は今回書ききれていない部分もあります。気になる方は合わせて参照してください。
まとめ
Nikon Z6Ⅱに対し、『ベースプレート』はあまり意味がありませんでしたが、『ATOLL D』適用により、ファンクションボタンの操作性向上、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sとの組み合わせでの安定度の向上を図ることが出来ました。この点はとても満足しています。
なんで最初から『ATOLL D』をNikon向けに推奨にしなかったのだろう、、
ただし、『ATOLL』自体、いいところはたくさんあるのですが、あと一歩という感じ。
汎用的になりすぎず、L字プレートの様に、もう少し機種ごとに個別最適がしてもらえるともっともっと良くなると思います。
ビジネス的に難しいところはあるのだと思いますがその点が残念ですね。
今後に期待です。
現在、『ATOLL』は主要な通販サイトではAmazonのみで取り扱いがあります。
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