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KANIとH&Yのフィルターホルダーを比較してみた

今回はこんな記事です。

私は現在、KANIの角型フィルターのユーザーです。
ただし別の記事で書きましたが、H&Yのシステムにもかなり興味があり、今回、H&Yのフィルターホルダーを購入し、KANI、H&Y 双方の使い勝手を比較してみました。

角型フィルターってそもそも何?って方は下記をまずご覧ください。

今回の比較は「フィルターホルダーに特化した比較」となっており、角型フィルターそのものの比較ではありません。
また、最初に結論を述べておくと、どちらも基本的な使い勝手はよく考えられている製品で、優劣について結論は出せませんでした。

このため、そもそも記事にするか を迷いましたが、フィルターホルダーについては双方のメーカーでかなり仕様に差異がありますし、おそらく皆さんが購入検討する場合のメーカー選定の最終判断にこの使い勝手は大きく影響しているはず。
この2つのメーカーで揺れ動いてる方は多々いそうなので、何かの参考になればと思い、記事にします。

KANIのフィルター構成

HTⅢ 100mm Holder + CPLセットで説明します。

なお、角型フィルターのセット品にはこれと同等品が同梱されています。

HTⅢ 100mm Holder + CPLセットの内容

  • フィルターホルダー
  • 82mmのアダプターリング
  • 82mmのアダプターリング(C-PL付)
  • ステップアップリング(67-82mm、72-82mm、77-82mm)

引用:KANIフィルター商品紹介ページより

フィルターホルダー取り付け方法

レンズ前にフィルターホルダー取り付け用のアダプターリングを付けます。
100mm幅の角型フィルターセットであれば、82mm径用のアダプターリングが付属しているのでまずそれをレンズ前に取り付けます。

なお、KANIのアダプターリングは「単なるアダプターリング」と「C-PLフィルター付きのアダプターリング」の選択ができ、C-PLフィルターを利用する場合はC-PLフィルターがセットされたアダプターリングを装着します。

引用:KANIフィルター商品紹介ページより

また、仮に82mm径より小さなレンズを使用する場合はステップアップリングを使ってサイズ調整して取り付けます。

アダプターリングにフィルターホルダーの「つめ」を引っ掛け、押し込むとフィルターホルダーが装着出来ます。

押し込む際、バネ式のつまみによりフィルターホルダーが止まるので、きちんとはめ込んだ感触があり、安心出来ます。

フィルターホルダー取り付け後、フィルターホルダーについている角型フィルター取り付け用のそれぞれのスロット(3つあり)に角型フィルターを挿入して使います。

スロット内にはウレタン樹脂が埋め込まれており、少々きつめにフィルターを差し込む感じなので、フィルターが滑り落ちるなどの不安はありません。

撮影対象に合わせてフィルターを上げ下げして色の濃い部分の位置を変更するか、場合によってはフィルターホルダーを回転させて位置を調整します。
フィルターホルダーは回転するため、必要に応じ、角度を変えて使います。

角型フィルターは「加工されているところ(黒いところ)」から「加工されていないところ(色が薄いところ)」の境界あたりをメインで使うのが基本ですが、加工面に寄せれば全面的にNDフィルターの効果を出すことも出来ます。

C-PLの回転はフィルターホルダーについたダイヤルを回して行います。
フィルターホルダーのダイヤルとアダプターリング内蔵のC-PLが歯車の用に噛み合っていて、ダイヤルを回すとアダプターリングについたC-PLが回転する仕組みです。

H&Yのフィルター構成

100mm K-SeriesフィルターホルダーKit Mark IIで説明します。

Just a moment...

H&Yも角型フィルターのセット品にはこのフィルターホルダーKitと同等品が同梱されています。

なお、H&Yではホルダーの各種機構がさらにマグネット化されたフィルターホルダー(H&Y REVORING SWIFTシステム)が2022年11月に新発売されています。
このシステムは以下の記事でレビューしているので、興味のある方は合わせて御覧ください。

100mm K-SeriesフィルターホルダーKit Mark IIの内容

  • フィルターホルダー
  • ドロップインCPL
  • アダプターリング(67,72,77,82mm用)

引用:H&Y商品紹介ページより

フィルターホルダー取り付け方法

レンズ前にフィルターホルダー取り付け用のアダプターリングを付けます。

H&Yのアダプターリング自体がステップアップリングの役目も果たしており、100mm幅のホルダー用に67,72,77,82mm径用のアダプターリングが付属しています。

フィルターホルダーは付属の2つのネジでアダプターリングの枠を抑え込む形で固定します。

H&YのフィルターホルダーにドロップインでC-PLフィルターを簡単に挿入、取り外しが出来るようになっています。
ドロップインできるフィルターはC-PLのみ、C-PLとNDが1枚にセットになったもの なども選択することもできます。
ここはH&Yの独自機構です。非常に使いやすい。

さらに角型フィルターの取り付けはフィルター枠がマグネットになっており、フィルターホルダーに磁力で貼り付ける形です(H&Yによるとフィルタの重ね付けは3枚までは出来るようです)。

磁力だけの固定では後ろから強い力をかけたときに前側に外れる懸念がありますが、フィルターホルダーのMark IIより、ロックネジに改善がかかっており、1枚目のフィルターは必要に応じ、ネジで抑えることで簡単に外れないようにロックすることが出来ます。

角型フィルターを重ね付けする場合は写真の様に、被写体に向かって100mm✗150mmを後ろ側、100mm✗100mmを前側にすると”より”安定します(と H&Yの中の方に教えて頂きました)。

実際に磁力で張り付く力を試してみましたが、想定以上に強い力で吸着しています。
角型フィルターを上げ下げする際は気になりませんが、実際にホルダーから外す際は少々力を込めないととれないくらいの吸着力。
真後ろから少々の力で触ったくらいで外れる心配はありません。

なお、フィルターホルダーは回転するため、必要に応じ、角度を変えて使います。

また、C-PLの回転はドロップインフィルターについているダイヤルを回して行います。

それぞれのフィルターホルダーの使い勝手比較

下記の5点のポイントでそれぞれのフィルターホルダーを比較しました。

フィルターホルダーの装着のしやすさ

KANIの場合

KANIはフィルターホルダーを位置決めをしたら押し込むだけできっちりハマります。
外す時もノブを引っ張るだけで外せるので使い勝手はいいです。

フィルターをつけたままだとAFが合焦しにくい時などは角型フィルターをフィルターホルダーから外さず、フィルターホルダーごと外してAFを合焦し、再度取り付ける など、設定したフィルタの位置を極力変えずに作業が出来ます。

H&Y場合

H&Yはフィルターホルダーをアダプターリングの間から差し込んで、さらに二箇所のネジ止めが必要。外すときはネジを緩める必要あります。

フィルターホルダーを外すのが手間なので、フィルターをつけたままだとAFが合焦しにくい時などは一旦、角型フィルターをフィルターホルダーから外してからAF合焦となります。ハーフNDフィルターの場合はグラデーションの位置の再度設定が必要で、少々面倒です。

角型フィルターの装着のしやすさ

KANIの場合

KANIの場合はフィルターホルダーのスロットに差し込む形です。
ウレタン素材の中に挿入する形なので挿入にはそこそこ力を必要とします。
逆にしっかり差し込むので落ちてくるような不安はありません。

H&Y場合

角型フィルターは磁力で装着するので超簡単です。
重ね付けも簡単。元のフィルターの上に載せてあげるだけで磁力でくっつきます。

角型フィルターを重ね付けした際の使い勝手

KANIの場合

KANIの場合はそれぞれ独立したスロットにフィルターを差し込んでいるので、それぞれを独立して操作できます。
例えばハーフNDフィルターとNDフィルターを二枚重ねしても、ハーフNDフィルターのみ操作して上下の上げ下げが出来ます。

H&Y場合

H&Yの場合、複数重ね付けしているフィルター同士が磁力でくっついているので、2つを同時に外すなどが容易に出来ます。
ただし、重ね付けした複数枚が一緒に動いてしまうので、例えばハーフNDフィルターの上げ下げを行った場合、角型フィルター同士の位置決めを再度しないとなりません。

好みが分かれると思いますが、私は縦構図、横構図の切り替えや太陽の光の入り具合の変化で頻繁にハーフNDフィルターの位置の上げ下げをするので、KANIの仕様の方が使い易いです。

角型フィルターそのものの使い勝手

KANIの場合

KANIの場合はガラスの1枚板なので、手袋をつけていたりすると手袋の素材によってはそれなりに滑ります。
また、指で直接角型フィルターを触ることになるので、皮脂の汚れなどは付きやすいです。
ただし、コーティングが優れているので、レンズクロスなどでさっと吹いてあげれば簡単にきれいにはなります。
角型フィルターはスロットに挿入するタイプなので、表裏を使用時に特に意識する必要はありません。

H&Yの場合

H&Yの場合は角型フィルターにフレームがついているので手袋をつけていても持ち易いです。また、フレームを掴むことが出来るので、角型フィルターそのものに汚れがつきにくいです。

フィルターホルダーへの装着は相手側が鉄、角型フィルターが磁石なので、表裏気にせずともよいですが、角型フィルターを重ね付けする場合は角型フィルター同士の磁石の極性を意識しないと反力が出る組み合わせがあるので、表裏を意識しないと行けないときがあります。

こちらもガラスのフィルターになりますが、H&Yは特にフィルターの丈夫さを強みとして謳われており、簡単に割れたりはしないようです。
H&YのHPでは手元からあえて落としてみたり、バイクで轢いてみたりと衝撃映像を公開しています。

ただし、長方形タイプ(100mm✗150mm)のフィルターにはこのような強度の高い、ゴリラガラスが使われていますが、正方形タイプ(100mm✗100mm)の方には適用されていないので、その点は注意です。

C-PLフィルターの使い勝手

KANIの場合

C-PLフィルター自体は角型フィルターと違って、頻繁に「あり/なし」を切り替えるようなものではありませんが、KANIの場合、レンズにC-PL付きアダプターリングとして直接取り付けるので”多少”手間はかかります。

ただし、前述したようにフィルターホルダーの脱着は簡単ですし、アダプターリング自体はフィルターホルダー用の外周の”マチ”があるので、外周が大きめで、通常の円形フィルターと比べてかみ込んで外しづらい等はありません。

ここで、「C-PLありのアダプターリング」→「C-PLなしのアダプターリング」への交換時間測定してみました。交換の流れは下記です。

KANIのフィルターの取り回しにそこそこ手慣れた人間の時間なのであくまで参考として見て下さい。また夕方、夜間は暗くて多少まごつくと思うので、もう少し時間がかかると思います。

  1. 「C-PLありのアダプターリング」を使い、フィルターホルダーを取り付けた状態。
    ここからC-PLなしの状態へ変更。
  2. まずフィルターホルダーを取り外し、その後、「C-PLありのアダプターリング」をレンズから取り外し。
  3. 「C-PL”なし”のアダプターリング」と交換しレンズに取り付け
  4. 再度、フィルターホルダーを取り付け

以上の工程で30〜40秒ほどで交換が出来ました。思ったよりは早いですね。

なお、KANIの場合、「アダプターリング一体型のフィルター」としては2021年10月25日時点で

  • C-PLフィルター
  • ビビッドタイプのC-PLフィルター
    (黄色系の遮光が強く、海の青み、木の緑等をより強調できるようです)
  • 光害カットフィルター

の3種類から選択できるようです。

H&Yの場合

C-PLフィルターをドロップインで挿入でき、非常に使い勝手がよいです。


また、ドロップインフィルターを使用しないときに挿入口を防ぐパーツも付属していて余計な光の進入を防ぐことも出来ます。

なお、H&YでもC-PLフィルターの脱着時間を測定してみましたが、なんと7秒程度で脱着可能でした。早すぎ。

「ドロップインフィルター」としては2021年10月25日時点で

  • CPLのみ
  • CPL+ND(ND8,32,64,1000)
  • NDのみ(ND1000,4000,65000)

の3種類、8製品がラインナップされています。

その他 それぞれのメーカーの比較

両メーカーの商品を購入して感じていることを「独断と偏見で」つらつら書きたいと思います。

KANIの場合

KANIはユーザーとの距離が近く、ユーザーの要望に応じた製品改良などに積極的に取り組んでおられ、(いい意味で)変わったパターンのハーフNDフィルターのラインナップがあります。

また、お得に買える目的別のセット品がかなり充実しています。
100mm幅で17種類もあります。

Filter Sets | ロカ・デザイン -KANI正規代理店- 2/4

ここまで来ると多すぎて逆に迷いますが、迷った場合はこのYoutubeを参考にしてみて下さい。
販売代理店であるロカユニバーサルデザイン社長の伊藤さんが自ら解説されています。

なお、KANIには「Partial Soft Focus Filter」という特徴的な製品があります。
このフィルターは大変人気の商品で、入荷時即完売、常に在庫無し状態の商品です。
70%がソフト効果、残り30%は透過の加工をされている角型のソフトフィルターで、一般的なソフトフィルターだと全面にソフト効果がかかってしまい、星景撮影時、例えばにじませなくともよい空以外の地表などもぼやけてしまうところ、地表面は透過部分にすることで、空はにじませつつも地表はにじませない なんてことができます。

私は商品入荷を3ヶ月待った上、販売開始から5分で売り切れるほどの激しい争奪戦?の末になんとか購入できました。

H&Yの場合

革新的な製品が多い印象です。
今回は角型フィルターを中心に紹介しましたが、同じくマグネットを利用した製品として、レンズキャップ、円形フィルタなど、磁力で簡単に装着できる機材を複数ラインナップしています。

引用:H&Y商品紹介ページより

また、最近ではREVORING(レボリング)をいうシステムを発売はじめました。
これはレンズの絞り機構を参考に開発されたようで、複数のステップアップリングを1枚のREVORINGで代行できるというなかなか画期的な製品です。

引用:H&Y商品紹介ページより

引用:H&Y商品紹介ページより

REVORINGは1つのフィルターを様々なレンズに取り付け可能な革新的な可変式ステップリングです。絞り羽の原理を応用した構造で、1つのフィルターを複数の口径のレンズに取り付けることを可能にします。

引用:H&Y REVORING商品紹介ページ解説

なお、REVORINGについてはこちらの記事を参考にしてください。

まとめ

それぞれメーカーで独自の特徴はあるものの、すでに多くのユーザーに使われている製品で、どちらのメーカーを選んでも満足行く製品だとは思いますが、完全に「私の価値観で」それぞれのメーカーに向く方をあえて書いてみます。

KANIが向く方

  • 構図をじっくりと追い込むタイプの方
    角型フィルターがそれぞれ独立して調整できる方が望ましい方
  • 角型フィルター利用をとことん追求したい方
    他メーカーでは扱っていない独自のフィルターを利用して自分だけの画作りをしたい方

H&Yが向く方

  • 山、海、暗所など、フィルターの利用シーンがハードなフィールドの方
    フィルターを落とすリスクあり、手袋でフィルターを持つので持ちやすいフィルター希望、角型フィルターの取り付けができるだけ簡単な方法を追求する方
  • 少々道具の扱いが雑(かも知れない)方

今回はあえて優劣などはつけず、私の感じたことを極力客観的に書いたつもりです。
この記事が皆さんのフィルター選択の助けになったならうれしいです。

H&Y Filters Japanさんより特別なクーポンコードを発行頂きました。
・直販サイトでのみ使用可能
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直販サイトのみでアウトレット品も扱っていますが、そちらにもコードが使えるとのこと。アウトレット価格がさらに割引になるので二度お得です。
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