※2024年9月11日更新:HTⅣに関する製品が多々リリースされているので追記しました
今回はこんな記事です。
ちなみに、、、私は最初はKANIのホルダーHTⅢを使用しており、その後、マグネット式に非常に興味が湧いて、H&Yのホルダー(K-Series)、H&Yのホルダー(SWIFT)を使用したのち、今回またKANIに戻ってきました・・・という角型フィルターのユーザです。
なお、HTⅣをHT4、HTⅢをHT3と表記している記事もありますが、この記事ではKANIの商品紹介に倣って、ローマ数字(Ⅲ、Ⅳ)で統一して記載します。
理想の角型フィルターシステムとは
私が角型フィルターシステムへ求める理想の条件は下記です。
- ホルダーがレンズに付けやすく、外れづらいこと
- ハーフNDの等の色の濃淡の位置調整のためにホルダーを回転等させても、レンズ装着用のアダプターリングが一緒に回転しづらく、ホルダーが外れづらいこと
- 常時使用することの多いフィルター(CPL等)が取り付けしやすく、外れづらいこと
- 角型フィルターが取り付けしやすく、外れづらいこと
- ハーフND等の角型フィルターの色の濃淡の上下の位置調整がし易いこと
- 角型フィルターを落としたりなどしても割れにくいこと
- 角型フィルターを触っても指紋などの汚れがつきにくいこと
- 角型フィルターを複数枚重ねた際、それぞれの角型フィルターを独立して操作できること
KANIのHTⅣは上記を網羅できており、現時点では一番理想の形に近いホルダーと感じています。
KANIのHTⅢとHTⅣの違い
そもそもHTⅣは角型フィルターにフレームを取り付けて使用する差異があります。
それ以外の差異としては下記となります。
サイズ
角型フィルターにフレームを付けていることから、角型フィルターを取り付けるスロットにおいてHTⅣの方がやや厚みがあります。
このため、これのケラレを避ける関係上、HTⅣの方が全体に大型になっています。
上下で約6.5mm、左右で約12mm程度大きさが大きくなっています。
レンズへの取り付け方
HTⅢ、HTⅣともに82mm径のレンズ用アダプターリングが標準となり、それ以外のサイズのレンズにはステップアップリングを使って装着する構成です。
なお、どちらのホルダーもKANI特有のロック機構がついており、取り付けは簡単で、かつ、外れにくい構造です。
「出っ張り」と「バネ式のツメ」でアダプターリングを固定する形で、非常に安定感があります。
金属部品同士で取り付けされているので、ホルダーを回転させてもアダプターリングが併せて回転してしまうような可能性も低いです。
(CPL等)常時利用するフィルターの付け方
HTⅢはアダプターリング本体にCPL等のフィルターが内蔵されており、フィルターの使用有無を変更する場合はアダプターリング自体を交換する必要がありました。
このため、CPLのあり/なし を切り替える場合、
- ホルダーを一度外し
- レンズから一旦アダプターリングを外し
- CPL付きのアダプターリングに取り替えて
- 再度、ホルダーをつけ直し
こんな手順が必要でした。
LPRF(光害カットフィルター)などは撮影中の頻繁な取り外しはありませんが、CPLは条件により使用有無が変化するため、アダプターリング毎交換するのはかなり面倒でした。
一方、HTⅣはマグネット方式でCPLフィルターがアダプターリングへ装着されているので、撮影中の交換はとても簡単で、レンズにアダプターリングを取り付けた以降でもCPLフィルターの装着、脱着が可能です。
手順としては ホルダーをつけたまま、アダプターリングにマグネット式のCPLフィルターを脱着するだけ、、、です。
これ、HTⅣでの「フレームを使用する機能」以外では目玉の機能となります。
アダプターリング内蔵型だったフィルターはマグネット式でも随時リリースされるのではと思われます。個人的にはLPRFが早く出てほしいです。
⇒LPRFリリースされました。その他、NDフィルター、ソフト系(ミスト系)のマグネット式フィルターもリリースされています。
※2024年9月11日現在リリースされているHTⅣ用のマグネット式フィルター
- ND(4,8,16,32、64,1000)
- CPL#0、CPL(Vivid)
- LPRF(光害カットフィルター)
- White Premium Mist、Black Premium Mist(効果の強さはそれぞれ3パターン)
ホルダーのスロットの数の調整
HTⅢ、HTⅣともにスロット数を3スロット→2スロットに変更するためのネジが標準で同梱されています。
ケラレが気になる方はスロット数の調整が可能です。
ホルダーのスロットの厚み
角型フィルターにフレームを装着して使用するため、HTⅣの方がやや厚みがあります。
約3mm厚いです。
角型フィルターの挿入時の抵抗
HTⅢにはホルダーに遮光するためのスポンジ状のものが装着されていて、これにより、手前側の1枚目を挿入時はかなり抵抗がありました。
カメラ背面から角型フィルターを装着する際はそれなりに力を入れる必要があり、ここは少々使いにくかった。
HTⅣではスポンジの接地面は最小限となっており、また、アルミのフレームを滑らせるので、1枚目であっても角型フィルターの挿入、位置調整はかなりスムーズです。
HTⅣ向け角型フィルター用フレームについて
フレームのキットにはフレーム本体と角型フィルター取り付け用の金具、金具を留める六角ネジ、六角レンチが同梱されています。
サイズは現時点(2024年2月6日現在)で「100mm✗100mm」、「100mm✗150mm」の2種類。
乗り換えユーザ向けに複数枚(2枚、3枚、5枚)がパッケージ化されたオトクなセットも用意されています。
フレームの素材はアルミの削り出しで、一体成型です。
つなぎ目などはないため、かなりしっかりした作りです。
フレームの内側の溝に沿って角型フィルターを挿入し、金具で上から抑えて固定する形式です。
かなりしっかり留まるため、取り付け後にフレーム内で角型フィルターがガタガタするようなことはありません。
フレーム上部には角型フィルターの装着時に利用する持ち手がついており、角型フィルターの位置調整時などでの操作性もよいです。
また、この持ち手は手持ち撮影時にもここを持って使えるので便利です。
フレーム左右にはガイドレールがあり、ここを使ってホルダーに挿入する方式です。
なお、ガイドレールにはストッパーがついており、ホルダーに入りすぎることはありません。
このため、不意に落ちてしまうこともありません。
ストッパーにより、角型フィルターをホルダーに挿入しすぎたことで、フィルターの種類を示す文字が画角に入り込むなんて事故を防ぐこともできます。
夜間撮影時、撮影時点では気づかなかったが、出来上がった写真をよ~く見てみたら画角に文字が入り込んで悲しい思いをしたことが何度かあります。こんな事故が防げます。
また、100mm✗100mmのサイズの角型フィルターを使用時は、ストッパーで止まるまで(一番奥まで)差し込むとフィルターが自動的にホルダーのど真ん中に設定されるので、位置の調整等せずともよく楽です。
なお、KANIの場合、フレームのみを購入してもフィルターのラベルカードが入れられる仕様の専用のケースが付いてきます。
これがなかなかかっこよくて、かつ、過去に購入した際に付属していたラベルカードが入れられるのでとても便利。
ケラレの比較
保護フィルター無しの状態で、HTⅢ、HTⅣについてケラレを比較してみました。
検証で使用したレンズは広角レンズのNikon NIKKOR Z 14-30mm f/4 Sになります。
- HTⅢ
15mmからケラレなし。
以降、フレームの影響を受けないので枚数を増やしても同じ。 - HTⅣ
角型フィルター1枚 14.5mmからケラレなし
角型フィルター2枚 15mmからケラレなし
角型フィルター3枚 15.5mmからケラレなし
HTⅣ利用上の注意点
HTⅣはフレームをつけた角型フィルターを取り付ける前提なので、HTⅢ(第三世代)までのシステムを利用していた方は下記の点で注意が必要です。
- HTⅢへHTⅣ向けの角型フィルター(アルミフレームあり)は取り付けられません。
アルミフレームを外せば取り付けることができます。 - HTⅣへHTⅢ向けの角型フィルター(アルミフレームなし)は取り付けられません。
アルミフレームをつければ取り付けることができます。
各メーカー間で角型フィルターを付け替えできるか
KANI HTⅣ、H&Y、どちらもフレーム付きの角型フィルターを使用しますが、KANIのほうがやや幅が大きく微妙にサイズが合いません。残念。
このため(実際に試しましたが)
H&YにKANIのHTⅣのアルミフレーム付き角型フィルターは幅が大きくてつけられません。
同じく、KANIのHTⅣにH&Yのマグネットフレーム付きの角型フィルターも取り付けられません。幅が狭いので落ちてしまいます。
なお、同一サイズ同士(100mm✗150mm、100mm✗100mm等)の角型フィルターについては、フレームを外して角型フィルターのガラス単体にし、ガラス単体でHTⅢに利用するか、それぞれのホルダー用のフレームを利用すればKANI、H&Y等、角型フィルターのメーカー間の相互利用は可能です。
今後の拡張性について
HTⅣにはサンシェードフードがつけられるように、取付用の「出っ張り」が最初からついています。将来、HTⅣに対応したサンシェードフードの販売が計画されているようです。
夏の早朝など、横からの強い光を防ぎたいときなどに角型フィルターをつけたままつけられるサンシェードフードがあるととても便利なので、今後の発売がとても楽しみです。
また(先述もしましたが)LPRF等、マグネット式のフィルターの拡充も濃厚なので、こちらのラインナップ充実も楽しみにしています。
⇒予想通り多々ラインナップが充実しはじめています!
まとめ
KANIのHTⅣ、悩んでいる方も多いと思うので、かなり細かく書いてみました。
久しぶりの長編になりました。最後まで読んで頂いてありがとうございます。
なお、HTⅣについて、さらに上手に使いこなすノウハウ、関連製品を別記事にまとめてあります。併せて見ていただけるとうれしいです。
では、以降、今回紹介した製品のリンクです。
①HT100IV Standard All-in-One set
フィルターセットに角型フィルターケースとホルダーキャップが同梱のセットです。
HTⅣのシステムを最初から準備する場合は必要なものがすべてそろっているのでオススメです。
②HTⅣ+CPLのみ のセット
③HTⅣ+CPL+フレーム(100mm✗100mm,100mm✗150mmが1枚ずつ)のセット
※フィルターをすでに持っている人にはおすすめのセット
④フレーム (100mm✗100mm)
※複数枚セットで割引のあるセットもあります。
⑤フレーム (100mm✗150mm)
※複数枚セットで割引のあるセットもあります。
このブログでは以前より各角型フィルターに関するレビューを多数投函しているのでそちらも併せて御覧ください。
コメント
H&YのSWIFTとKANIのHTⅣは、どちらがおすすめでしょうか。
コメントありがとうございます。SWIFTの記事も読んでいただけたようで嬉しいです。
H&Y,KANIそれぞれの方向性が違うので一概にどちらがおすすめは言いづらい部分はありますが、私の使い方でいうと現時点ではKANIの方が私の撮影スタイルに合っています。
私の角型フィルターの使い方においては「複数枚を重ねるのが基本、場合によっては3枚」「頻繁に付け外しをして組み合わせを変える」「頻繁にハーフNDの位置調整を行う」が多いです。この条件で両メーカーのホルダーを比較した結果、KANIの方が優位性があります。
その理由ですが「KANIは角型フィルターを重ねてもそれぞれを独立して操作できる(H&Yはマグネットでくっついているので複数枚が同時に動いてしまう)」「H&Yは角型フィルターを複数枚重ねると”角型フィルター部分”、”SWIFTはホルダー部分自体”も重くなり外れやすくなる(これはH&Yを利用している上で分かっていたことです。H&Yはマグネットを利用し、SWIFTはホルダーそのものの装着もマグネットなので脱着が簡単であるものの、一方で、完全に個人的な不注意でもあるのですが、不用意に後ろからぶつかって角型フィルターを落としてしまったり、SWIFTにおいてはホルダーごと落としてしまったり がありました)」
また、KANIの方はアグレッシブに新製品を出して楽しませてくれますが、H&Yはそれと比較するとやや最近はペースが鈍化した感じです。その点もKANIに傾いている理由です。
以上、参考になりましたら幸いです。